経営戦略

シュンペーター入門 中野 剛志

行動的な人、精力的な人
イノベーションを生む人の特徴
自分を拘束する条件に抵抗し、そうせずにはいられない人
そして需要を自ら生み出す人
比較対象として、静的な習慣的な人 人は元々習慣的に生きるように作られている

アダムスミスをはじめとする市場均衡理論は静的な経済を分析したもの いくら勉強しても経済を良くすることは難しい
シュンペーターこそが行動的な人

主流派経済学の大御所ワルラスに噛み付く ワルラスは経済は均衡するようになっているメカニズムを持っているという考えに対して、均衡を破るメカニズム、いわゆるイノベーションを含んだ経済があるといった考え説いた
ワルラスが説くの静態的経済

信用創造
銀行は貨幣を創造する
創造できる量は企業者の返済能力まで
実際の融資は現生を渡すのではなく、融資先の通帳に印字するだけ
1000万円の融資は現金1000万円渡すのではなく、通帳に1000万円と印字するのみ

不況時などの耐性に強いのは、むしろ古い企業
スタートアップは新しいので、銀行などと信用があまり無い それに対して古い企業は銀行、取引先に対して信用があり、つぶれにくい つまり、新陳代謝で潰れるのは新しい企業となり、その結果イノベーションが起きなくなる

ラゾニックの株主資本主義の機能の分析
→内部留保から再投資、終身雇用といった良い時代→削減と分配の時代になってしまった
→企業が創造した価値を投資家たちが抜き取って山分けする場

削減と分配の5要素
①支配
経営者が経営の支配権を悪用して企業の創造する価値を奪って個人的な利益増大をしてしまう、ストックオプションゲット、自社株買い、価格釣り上げ、売却で大儲け

②資金
設備投資に回せず、株主が配当要求、自社株買いにより資金が外へ流出

③設立
新規企業関連のナスダックでは、ぶっちゃけ企業が儲かっても儲からなくても、株価が上がるのを見越して売買、利益を得るのは投資家

④結合
健全なM&Aが行なわれるべきだが、株主や経営者の個人的な利益追求になってしまっている

⑤報酬
相場操縦が多く、企業のイノベーションを生むモチベーションにつながらない、安定的な従業員報酬にならないことも

ちなみに、ラゾニックデータによれば1970〜1985までで、株式による資金調達はイギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、日本でマイナス9%からプラス5%
マイナスは配当支払、自社株買いなどであろう

実はアメリカは終身雇用制だった、1928年から株主資本主義に転換、削減と分配へ
日本政府も遅れてアメリカに追従、ほとんど同じ結果になってしまった 売上、賃金、設備投資伸びない、配当金は爆上がり
財務省「法人企業統計調査」より
本227ページ参照、衝撃データ

iPhoneもアメリカの産業政策の産物
マルチタッチスクリーン、DRAM内蔵、リチウムイオン電池、液晶画面、NANDフラッシュメモリ、マイクロプロセッサなど、政府の資金が投入されている
そもそもネット技術の前進もアメリカ政府が30年以上かけて開発していたもの

資本主義は損得勘定、合理主義となり短期視点となる 富を得て豊かになるという点で、誤解を恐れずに言えば家族を持つ、子供を作ることは相反する 子供を作らないと自分が富を独り占め出来、自分が死んだ後のことは考えない つまり、自分の子孫のために長期的な視点に立って事業投資を続けると言うことがなくなり、イノベーションが生まれなくなる、そして資本主義は衰退していく まとめると、資本主義は少子化につながり、イノベーションが起きなくなり、自滅する

社会主義への前進は続いている
リーマンショックの政府介入、インフレ退治の利上げ、電力価格やガソリンの抑制措置 ここでの社会主義とは政府が大きくなること  
よくある計画経済のことではない

この本の要旨 
なぜ日本経済は衰退したか
簡単に言うと、アメリカ政府に真似た削減と分配を取り入れ、日本政府は長期投資をしなくなり、イノベーションが生まれず、弱くなった 

起業家幻想
アメリカスタートアップデータ
ざっくり言うと、やるのは中年、人を雇用しない、転職ばかりしてたり失業者 儲かっておらず成長も目指してない
実態は、なんとも冴えない零細事業者が大半
したがって、スタートアップがイノベーションを起こすのは幻想である

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