映画、小説

薬屋のひとりごと  日向夏

人気ラノベで、薬屋の少女が後宮の難事件を薬学の知識や経験で解決するストーリー。

ラノベとは言っても、柔らかい文章ではなく本格的な文章で、漢字も難しい文字が登場することも多い。

難事件は10P~40Pで1つ発生して、解決していくボリューム。

基本的に1話完結だが、宦官の任氏とは継続的にやりとりがある。

〇面白さの戦略

もともと推理物は人気があり、様々な作家が作品を世に送り出した経緯からすると、アイデアが豊富で作りやすい下地があったのではないか。

(そもそも売れる作品を作るのは容易いことではないだろうが)

また、急病や毒殺未遂などが多く、いままでの推理物コンテンツになじみがある。

推理物が好きな読者には入りやすいだろう。

さらに後宮話で、女性同士の陰湿な謀略と推理は親和性があり、推理物+後宮物といった鉄板コンテンツを選んだのが功を奏したのかもしれない。

ちなみに、猫猫の実家は花街であり、その描写もあって物語に様々な角度の興味を加えている。

まとめると、推理物+後宮物、そして時々花街である。

ストーリーの広がりを作りやすく方向性を決めたこと、勝つべくして勝った、といえるかもしれない。

著者は元々鉱山で働く3人の子を持つシングルマザーという設定を考えていたが、読者受けを鑑み後宮物にしたとのことである。

〇ストーリーについて

1話1話簡潔に解決していくのが読みやすい。

謎の世継ぎの死はおしろい、幽霊騒動は精神病、園遊会ではアナフィラキシーと、薬学に詳しくなくても読み進められ、共感できる内容。

また、登場人物のキャラ設定や感情の描写が丁寧で、ともすると後宮といった隔世の感がある世界がとても身近で人間くさい場所であること感じさせてくれる。

その馴染みやすさがあってか、本書を読むのが半ばルーティーン化している自分がいたような気がする。(飲んだらとりあえずYouTube見るか・・・のような)

また、それぞれの姫が特徴があって魅力があり、あわせて猫猫の無敵感かつ親しみやすく、ときどき垣間見える少女っぽさが、男性読者を増やしている一因とも考えられる。

猫猫ファンも少なくないだろう。

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