映画、小説

蟹工船 小林多喜二

たしかに、プロレタリア文学の最高傑作と思う。

使用者と労働者の対立を軸に、生々しいまでの劣悪な環境、使用者の非道な虐待も相まって感情移入せずにはいられない作品である。

そして、最終的なラスボスは使用者でも労働者でもなく、資本家だったというどんでん返し。

文句なし、記憶に残る一冊であるだろう。

・作品の特徴

三人称。

徹底的にリアルにこだわってると思う。

そしてイメージしやすい。

まず、オノマトペをよく使っている。

ジュクジュク、ギイギイ、グイッと、ひょいひょいなど。

また、漁夫などのセリフも荒々しいものが多く、秋田弁も盛り込み情景をイメージしやすい。

「あったら奴に殺されて、たまるけア!」 ※アはカタカナにしている。

「今度こそ、覚えてれ!」 そして、長期にわたる船内で男性の性欲、そして居所のシラミなどの劣悪な状況。

労働者側の生活のリアル。

使用者と労働者の対立。

浅川監督の恐怖支配、虐待の細かな描写、それに対する労働者の感情を載せたセリフ、団結、サボタージュの浸透。

プロットもリアルで秀逸。

資本家が古い船を改修して利益獲得、利益優先の結果として労働環境が劣悪。

つまり現場に金をかけずに人力にて解決。

まさに現代のブラック企業。

そして、カムチャッカ沖の漁、ロシア人との遭遇、赤化。

通訳が中国人というのも小技が効いている。

古くて新しい、人間の髄を炙り出す最高の作品だった。

ブラック企業叩きは水戸黄門的コンテンツで、話が展開しやすい。

見せ方のうまさは、いかに労働者側の環境を劣悪にして、使用者側を贅沢に見せるかだろう。

駆逐艦幹部とのドンチャン騒ぎ、蟹の混ざった泥酔の嘔吐など。

その差分が大きいほど、読者は目が離せなくなるだろう。

使用者、労働者、そして資本家の3点は黄金のプロレタリア方程式として、参考にしていきたい。

-映画、小説