映画、小説

流星たちの宴  白川 道

総評

仕手戦という、一般人には馴染みのない世界を、リアリティ溢れるディテールで語られた男たちの熱い物語。

ハードボイルド小説であり、相場の裏側を生き抜いている者たちが、まるで現実にいるような錯覚をさせる息遣いを感じた。

巨額の金を動かす場面有り、アクションあり、ロマンスありと様々な感情を動かす場面があった。

また、見崎との師弟関係から始まる仕手戦の敗北、そこからの投資顧問会社を興す復活劇は、物語を読むものを離さないほどを熱を帯びていた。

最後の衝撃的な結末、そしてその周りを彩る歌、手紙が一層結末を心に残す演出となっている。

冒頭のシーンは再起といっていいか分からないが、間違いなく雅之に新たな生の実感を与える出発点になるだろう。

著者は実際に投資顧問会社に居たこともあり、非常にリアル。内部の人間しか書けないディテールで、また金額も半端ない額を動かすストーリーでハラハラドキドキを演出。多くの一般人には馴染みがないだろう雅之の日常に目が離せなくなる。

札束をふたつ理子に渡して「ニューヨークに行ってこい」とか。

また、見崎に可愛がってもらうシーンは誰もが上司に可愛がってもらったシーンを思い出すだろう。

その上司がいなくなり、半ばかたき討ちのような動きは共感が得られやすいと思う。

【ストーリー展開】

①下がる 妻と離婚、四国の義理の両親の会社の役員から外れて、投資顧問会社へ入社、見崎に面倒を見てもらう

②底 海田グループの仕手戦 日栄産業で敗戦となり海田逮捕、見崎は残念な結果に

日栄産業はのちの伏線となる

③頂き 投資顧問会社である群星を創業、あわせてアンにクラブ「ギャラクシー」を任せる

④底 ギャラクシー業績不調、資金繰り不安

⑤頂き 投資顧問業とは別に金融業を開始、種田と関係が深まり仕手戦の内幕を知る 日栄産業の仕手戦を計画、見崎の仇も視野

⑥底 仕手戦終盤で勝利確定目前、ブラックマンデー 

冒頭エンディングで何もかも無くした、残ったのは汚名だけの雅之と美佐緒

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